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ベンゼン(第一種特定有害物質)について
特定有害物質のうち、第一種特定有害物質(揮発性有機化合物)のベンゼンを取り上げます。
別名
ベンゾール
特徴
ベンゼンは、19世紀前半にイギリスの科学者ファラデーによって、圧縮した鯨油の分解ガスからはじめて取り出され、その40年後に分子構造式が解明されました。この分子構造式は一般に「ベンゼン環」と呼ばれ、このベンゼン環を含むものを芳香族化合物といいます。「ベンゼン環」は、構造式が亀の甲羅に似ていることから「亀の甲」とも呼ばれます。ベンゼンは、常温では特徴的な臭いをもつ無色透明の液体で、揮発性物質です。
用途
基礎化学原料として多方面の分野で使われており、ベンゼンから合成される代表的な化学物質には、スチレン(合成樹脂や合成ゴムの原料)、シクロヘキサン(ナイロン繊維の原料)、フェノール(合成樹脂、染料、農薬などの原料、消毒剤)、無水マレイン酸(合成樹脂、樹脂改良剤などの原料)などがあります。
なお、ガソリンの中に数%のベンゼンが含まれていましたが、低ベンゼン化が進められ、大気汚染防止法に基づく「自動車の燃料の性状に関する許容限度及び自動車の燃料に含まれる物質の量の許容限度」の改正によって、自動車用ガソリンのベンゼンの許容限度は、2000年1月より1%以下(体積比)になっています。また、たばこの煙にもベンゼンが含まれています。
常温で揮発性や引火性の高い物質であり、また発がん性もあるので、取り扱いには注意が必要ですが、私たちが日常生活でベンゼンに直接ふれる場面は少ないと考えられます。
環境中での動き
大気中へ排出されたベンゼンは、主に化学反応によって分解され、7~10日で半分の濃度になると計算されています。水中に入った場合は、主に大気中への揮発によって失われるほか、一部は微生物分解されると推定されています。しかし、土壌の深い層や地下水に侵入したベンゼンは、容易には揮発しません。
環境基準
土壌環境基準 | 0.01mg/L以下 |
地下水環境基準 | 0.01mg/L以下 |
水質環境基準(健康項目) | 0.01mg/L以下 |
土壌汚染対策法の基準(第一種特定有害物質)
土壌溶出量基準 | 0.01mg/L以下 |
土壌含有量基準 | - |
地下水基準 | 0.01mg/L以下 |
第二溶出量基準 | 0.1mg/L以下 |
「事業者が行う土壌汚染リスクコミュニケーションのためのガイドライン」(公益財団法人 日本環境協会 平成27年6月発行)