【環境省 指定調査機関】地歴調査・土壌調査・不動産評価・不動産売買・不動産仲介 トランスバリュー・リアルエステートサービス株式会社

カドミウム及びその化合物(第二種特定有害物質)について

特定有害物質のうち、第二種特定有害物質(重金属等)のカドミウム及びその化合物を取り上げます。

特徴

カドミウムは、常温で銀白色の柔らかい金属で、地球の地殻に広く分布しています。高純度の鉱石はありませんが、一定の濃度で亜鉛鉱石に含まれていることから、通常は亜鉛を精錬する際に副産物として生産されています。

カドミウムは、人体に長期間にわたって取り込まれると、障害を生じさせることが知られています。カドミウム中毒の事例として、日本では、鉱山から排出されたカドミウムに汚染された地域で発生したイタイイタイ病があります。

用途

カドミウムは、メッキの原料をはじめ、合金の成分、塩化ビニル樹脂の安定剤やプラスチック・ガラス製品の顔料など、さまざまな用途に使われてきましたが、現在は、需要のほとんどはニッケル・カドミウム蓄電池が占めるようになっています。

カドミウムの化合物には、塩化カドミウム、酸化カドミウム、硫酸カドミウムなどがあります。

  • ・塩化カドミウム:常温で無色の固体で、水に溶けやすく、メッキや顔料の原料として使われています。
  • ・酸化カドミウム:常温で茶色の固体です。メッキの原料として使われています。
  • ・硫酸カドミウム:常温で白色の固体で、水に溶けやすく、分析用試薬、カドミウム電池やメッキの原料に使われています。

なお、カドミウムは、米、野菜、魚介類など食品中に広く含まれるほか、たばこの煙にも含まれています。

環境中での動き

カドミウムは地殻の表層部には重量比で0.00005%程度存在し、クラーク数で62番目に多い元素です。カドミウム及びその化合物の環境中への排出は、人為的な排出のほか、カドミウムを含む岩石の風化や火山の噴火など、天然由来によるものが考えられます。

環境中へ排出されたカドミウムは、大部分が土壌粒子や水底の泥などに吸着され、一部が水に溶けると考えられます。土壌中のカドミウムは植物に吸収されますが、植物への蓄積に影響を及ぼす要素は、土壌のカドミウム濃度とpHとされています。土壌のpHが高いと土壌粒子へのカドミウムの吸着性が大きくなり、その結果、植物にカドミウムが吸収されにくくなるとされています。また、カドミウムは、土壌中の酸素が少ない状態(還元状態)では、硫黄と結合して水に溶けにくくなります。このため、水稲がカドミウムを吸収・蓄積する時期(出穂3週間前から収穫10日前まで)に、水田の土壌表面に空気が触れないように水を張った状態(還元状態)を保つと、土壌中のカドミウムは水に溶けにくくなり、米のカドミウム吸収が低減することが確認されています。

大気中へ排出された場合は、大気中の微粒子などに吸着して長距離を移動し、大気中の滞留時間(地表に沈降するまでの日数)は1~10日とされています。地表へは降雨などによって降下します。

環境基準

土壌環境基準 0.003mg/L以下
農用地においては米1kgにつき0.4mg以下
地下水環境基準 0.003mg/L以下
水質環境基準(健康項目) 0.003mg/L以下

土壌汚染対策法の基準(第二種特定有害物質)

土壌溶出量基準 0.003mg/L以下
土壌含有量基準 45g/kg以下
地下水基準 0.003mg/L以下
第二溶出量基準 0.09mg/L以下
引用・参考文献
「事業者が行う土壌汚染リスクコミュニケーションのためのガイドライン」(公益財団法人 日本環境協会 平成27年6月発行)