【環境省 指定調査機関】地歴調査・土壌調査・不動産評価・不動産売買・不動産仲介 トランスバリュー・リアルエステートサービス株式会社

水銀及びその化合物(第二種特定有害物質)について

特定有害物質のうち、第二種特定有害物質(重金属等)の水銀及びその化合物を取り上げます。

特徴と用途

常温で液体である唯一の金属で、水に溶けにくい銀色の物質です。他の金属と違って低温で固体から液体になり、また常温でも揮発します。水銀は自然界では硫黄と結合しやすいため、硫化水銀(辰砂)の形で存在することが多く、硫化水銀は、紀元前から赤色顔料などとして用いられ、金メッキをする際にも利用されてきました。

水銀は、各種電極や金・銀などの抽出液などに使われているほか、身近なところでは、血圧計、体温計、温度計などの計器類、水銀灯、蛍光灯などに使われています。また、かつては虫歯に詰めたりするアマルガムや消毒薬のマーキュロクロムにも多く使われていましたが、現在ではほとんど使われていません。なお、水銀は石炭中にも微量に含まれています。水銀の化合物には、塩化水銀(II)、酸化水銀(II)や塩化メチル水銀などがあります。

  • 塩化水銀(II):水に溶けやすく、常温で白色の固体です。殺菌剤や防腐剤、実験用試薬や合成樹脂製造の際の触媒などに使われています。
  • 酸化水銀(II):常温では固体で、赤色と黄色の2種類があります。磁器顔料の希釈剤、試薬の触媒などに使われています。
  • 塩化メチル水銀:常温で白色の固体で、試薬として使われています。なお、有機水銀中毒として知られる水俣病は、アセトアルデヒドの製造過程で触媒として使われていた無機水銀化合物から塩化メチル水銀が副生され、これを処理しないまま排水として川や海へ排出したことから起きたものです。

環境中での動き

大気中へ排出された水銀は、ほとんどが水銀蒸気として存在すると考えられます。人為的な排出以外にも、水銀蒸気として地殻や海などから揮発したり、火山からの噴出によって、大気中に放出されます。大気中での残留時間は、報告によって6日から6年間までと幅があります。多くは雨とともに地表に降下します。土壌中や水中では再び水銀蒸気に戻ったり、微生物によって有機水銀化合物に変化するものもあります。さらに、水と食物の両方から食物連鎖を通じて水生・海洋動物に生物濃縮すると考えられています。

なお、水銀は地殻の表層部には重量比で0.00002%程度存在し、クラーク数で65番目に多い元素です。

環境基準

土壌環境基準 0.0005mg/L以下(総水銀)
検出されないこと(アルキル水銀)
地下水環境基準 0.0005mg/L以下(総水銀)
検出されないこと(アルキル水銀)
水質環境基準(健康項目) 0.0005mg/L以下(総水銀)
検出されないこと(アルキル水銀)

土壌汚染対策法の基準(第二種特定有害物質)

土壌溶出量基準 水銀0.0005mg/L以下であり、
かつ、アルキル水銀が検出されないこと
土壌含有量基準 150mg/kg以下
地下水基準 水銀0.0005mg/L以下であり、
かつ、アルキル水銀が検出されないこと
第二溶出量基準 水銀0.005mg/L以下であり、
かつ、アルキル水銀が検出されないこと
引用・参考文献
「事業者が行う土壌汚染リスクコミュニケーションのためのガイドライン」(公益財団法人 日本環境協会 平成27年6月発行)