【環境省 指定調査機関】地歴調査・土壌調査・不動産評価・不動産売買・不動産仲介 トランスバリュー・リアルエステートサービス株式会社

セレン及びその化合物(第二種特定有害物質)について

特定有害物質のうち、第二種特定有害物質(重金属等)のセレン及びその化合物を取り上げます。

特徴と用途

セレンは、常温で赤褐色から暗灰色の固体です。わが国では、セレンは銅精錬やコピー機感光ドラムのスクラップ精錬に伴って生産され、その生産量は世界の約25%にのぼり、最大の生産国になっています。セレンは光を受けると電気を流す性質があるため、コピー機の感光ドラムや太陽電池に使われています。また、ガラスや陶磁器などの赤、ピンク、橙黄色の着色剤や顔料、ガラスに含まれる不純物の色を吸収する消色剤、合金の添加剤として用いられるほか、セレンが欠乏している地域の土壌改良剤にも使われています。

水セレンの化合物には、亜セレン酸、亜セレン酸ナトリウムやセレン化水素など、多くの種類があります。

  • 亜セレン酸:常温で無色または白色の固体です。試薬、酸化剤や顔料などに使われています。
  • 亜セレン酸ナトリウム:常温で白色の固体で、吸湿性があります。ガラスの着色剤や消色剤、顔料、軽金属のメッキ処理剤や動物用飼料などに使われています。
  • セレン化水素:常温で無色の気体で、ニンニク臭があります。半導体を製造する工程で使われています。
  • 六フッ化セレン:常温で無色の気体です。電気絶縁体や半導体に使われています。
  • 二硫化セレン:常温で赤黄色の固体です。ふけ取りシャンプーの原料や動物用医薬品などに使われています。

環境中での動き

セレンは地殻の表層部には重量比で0.00001%程度存在し、クラーク数で70番目に多い元素です。セレン及びその化合物の環境中への排出は、人為的な排出のほか、セレンを含む岩石の風化による土壌への浸出や火山の噴火など、天然由来によるものが考えられます。

セレンが大気中へ排出された場合、大部分は粉じんの沈降や降雨などによって地表へ降下すると考えられます。また、セレン化水素が大気中へ排出された場合、化学反応によって3~6時間でセレン化水素としては半分の濃度になると推定されています。土壌中でのセレンの動きについては、pHと土層の酸化還元状態が重要な要素とされています。セレンの植物への吸収性についても、土壌の型やpHに影響されると考えられています。一般的には、セレン濃度が高い土壌は乾燥地域、低い土壌は湿潤地域に分布するとされています。

環境基準

土壌環境基準 0.01mg/L以下
地下水環境基準 0.01mg/L以下
水質環境基準(健康項目) 0.01mg/L以下

土壌汚染対策法の基準(第二種特定有害物質)

土壌溶出量基準 0.01mg/L以下
土壌含有量基準 150mg/kg以下
地下水基準 0.01mg/L以下
第二溶出量基準 0.3mg/L以下
引用・参考文献
「事業者が行う土壌汚染リスクコミュニケーションのためのガイドライン」(公益財団法人 日本環境協会 平成27年6月発行)