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ほう素及びその化合物(第二種特定有害物質)について
特定有害物質のうち、第二種特定有害物質(重金属等)のほう素及びその化合物を取り上げます。
特徴と用途
ほう素化合物には、ほう酸、ほう酸ナトリウム(ほう砂)、三フッ化ほう素、ペンタボラン、デカボラン、ジボランなどの数多くの化合物があります。さらに、ほう酸ナトリウムには、四ほう酸二ナトリウム、過ほう酸ナトリウムなどのさまざまな物質があります。PRTR制度ではこれらをまとめて、ほう素を質量で1%以上含んだ化合物を対象物質としています。
ほう酸化合物の用途で、最終製品として最も多いのがガラス繊維で、ついでホウケイ酸ガラスです。ガラス繊維の長繊維のものは、FRP(繊維強化プラスチック)などになり、短繊維のものは、グラスウールとして断熱材や吸音材に使用されています。ホウケイ酸ガラスは熱衝撃に強く、一般にはパイレックスや硬質ガラスと呼ばれています。
- ほう酸:常温で無色透明または白色の固体で、ほう素化合物は、そのほとんどがほう酸を出発原料としています。ほう素化合物の原料に使われるほか、ガラス・ほうろう材料、ニッケルメッキ添加剤、医薬品や防虫剤などに用いられています。身近なところでは、ゴキブリ駆除用のほう酸団子に使われています。
- ほう酸ナトリウム:常温で白色の固体です。耐熱ガラスやガラス繊維の原料などに使われたり、身近な用途では洗濯用漂白剤の原料のほか、子どもの遊び道具や理科教材としてつくられるスライムにも使われています。
- 三フッ化ほう素:常温で無色の気体です。工業用触媒や半導体製造などに使われています。
- ペンタボラン:常温で無色透明の液体です。火薬や爆薬として使われます。
- デカボラン:常温で無色透明から白色の固体です。工業用触媒や燃料として使われています。
- ジボラン:常温で無色透明の液体です。半導体製造に使われたり、工業用触媒や還元剤、ロケット推進薬に使われています。
なお、ほう酸やほう酸ナトリウムは古くから防腐薬、消毒薬として用いられてきましたが、やけどや傷ついた皮膚、粘膜から吸収されたときの毒性が指摘され、現在では、目の洗浄・消毒に限定して使用されています。
環境中での動き
環境中へ排出されたほう素化合物は、大気中ではほう酸塩、酸化物、水素化物などとして粒子状物質の形で存在するとされています。ほう素を含んだ粒子は、降雨などや重力によって地表に降下し、大気中のほう素は通常、数日で半分の濃度になるとされています。水中では、ほう素化合物は、ほう酸またはほう酸塩イオンの形で存在します。ほう素化合物は水底の泥や土壌中に吸着され、pHが7.5~9.0付近において最も吸着力が強いとされています。
なお、ほう素は地殻の表層部には重量比で0.01%程度存在し、クラーク数で41番目に多い元素です。ほう素は、人間活動に伴う排出のほかに、岩石の風化、海水からのほう酸の蒸発、火山活動などによって環境中に放出されます。
環境基準
土壌環境基準 | 1mg/L以下 |
地下水環境基準 | 1mg/L以下 |
水質環境基準(健康項目) | 1mg/L以下 |
土壌汚染対策法の基準(第二種特定有害物質)
土壌溶出量基準 | 1mg/L以下 |
土壌含有量基準 | 4000mg/kg以下 |
地下水基準 | 1mg/L以下 |
第二溶出量基準 | 30mg/L以下 |
「事業者が行う土壌汚染リスクコミュニケーションのためのガイドライン」(公益財団法人 日本環境協会 平成27年6月発行)