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シアン化合物(第二種特定有害物質)について
特定有害物質のうち、第二種特定有害物質(重金属等)のシアン化合物を取り上げます。
特徴と用途
無機シアン化合物は、シアノ基(-CN)を含む無機化合物で、代表的なものにはシアン化水素、シアン化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化カルシウム、塩化シアンなどがあります。
- シアン化水素:別名青酸と呼ばれています。常温で無色透明の液体または気体で、水に溶けやすい物質です。ゴム、樹脂や繊維の原料となるアクリロニトリルや、乳酸などの有機化合物や殺鼠剤の原料に使われるほか、農薬の原料などに使われています。また、鉱石に含まれている金属を取り出すためにも使われています。なお、シアン化水素は、たばこの煙にも含まれています。
- シアン化カリウム(別名:青酸カリ):常温で無色透明または白色の固体で、水に溶けやすい物質です。シアン化カリウムは、分析の際に障害となる金属イオンの除去などに使われたり、触媒、農薬や医薬品の原料としても使われています。
- シアン化ナトリウム(別名:青酸ソーダ):常温で白色の固体で、水に溶けやすい物質です。酸と反応するとシアン化水素ガスを発生します。主に飼料添加剤の原料に使われています。また、メッキに使われたり、金の精錬や非鉄金属から銅や銀などを抽出する際に使われるほか、顔料の原料として使われています。
- シアン化カルシウム:常温で特徴的な臭いのある無色透明または白色の固体です。農薬の原料として使われています。
- 塩化シアン:常温で無色透明の気体または液体です。シアンイオンを塩素処理すると生成されたり、アンモニウムイオンと塩素との反応によっても生成され、塩素消毒などの副生成物のひとつです。なお、ライマ豆、アーモンド、杏仁、梅などには、シアン配糖体(シアンが糖分と結合した物質)
が含まれており、加水分解や酵素反応によってシアン化水素を発生することが知られています。
環境中での動き
大気中へ排出された無機シアン化合物は、主にシアン化水素として存在しますが、シアン化水素の分解速度は比較的遅く、化学反応によって半分の濃度になるのに、0.8~1.5年かかるとされています。シアン化ナトリウムやシアン化カリウムなどの無機シアン化合物が粒子状の状態で大気中に存在した場合は、降雨・降雪や重力によって地表に降下するとされています。また水中では、シアン化水素の場合、酸素が十分で、シアン化水素でならして分解しやすいようにした活性汚泥(汚水を浄化する働きをもつ微生物のかたまり)では容易に分解され、二酸化炭素とアンモニアを生じるとされています。
環境基準
土壌環境基準 | 検出されないこと |
地下水環境基準 | 検出されないこと |
水質環境基準(健康項目) | 検出されないこと |
土壌汚染対策法の基準(第二種特定有害物質)
土壌溶出量基準 | 検出されないこと |
土壌含有量基準 | 50mg/kg以下(遊離シアンとして設定) |
地下水基準 | 検出されないこと |
第二溶出量基準 | 1mg/L以下 |
引用・参考文献
「事業者が行う土壌汚染リスクコミュニケーションのためのガイドライン」(公益財団法人 日本環境協会 平成27年6月発行)
「事業者が行う土壌汚染リスクコミュニケーションのためのガイドライン」(公益財団法人 日本環境協会 平成27年6月発行)