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土壌汚染対策法第14条第1項(指定の申請)に基づく届出手続について
土壌汚染対策法第14条では、「自主的な調査によって土壌汚染が判明した場合などには、土地の所有者等が都道府県知事等に区域の指定を申請できること」が定められています。
申請をする場合は、申請に係る調査の方法及び結果その他の環境省令で定める事項を記載した申請書を都道府県知事等に提出しなければなりません。
弊社では、土壌汚染対策法第14条に基づく届出手続き経験が豊富なスタッフにより、円滑な届出手続きをサポートいたします。
1.土壌汚染対策法の第14条の指定の申請について
ポイント①
指定の申請は法3条第1項、第4条第2項又は第5条第1項の規定を受けない土地の区域が該当します。上記の規定が適用される土地は法による土壌汚染状況調査の実施が義務付けられるため、上記の規定が優先されるためです。なお、これらの規定による土壌汚染状況調査の実施義務が発生する前の土地(有害物質使用特定施設が廃止されていない時点における有害物質使用特定施設を所有する工場又は事業場の敷地である土地)については、申請の対象となる場合があるため、注意が必要です。
ポイント②
申請を行う者は土地の所有者等と規定されています。なお、申請を行おうとする土地に複数の土地所有者等がいる場合は、その全員の合意を得ていることが必要です。
ポイント③
届出を行う場合、「指定の申請書」(様式第十一)と共に下記の書類・図面を提出することとなります。なお、届出に際しては、事前に各自治体と相談することが望ましいです。
- 指定の申請書(土壌汚染対策法施行規則 様式第十一)
- 申請に係る土地の周辺の地図
- 申請に係る土地の場所を明らかにした図面(公図や地積測量図など)
- 申請者が申請に係る土地の所有者等であることが確認できる書類(土地登記簿など)
- 申請に係る土地に複数の所有者等がいる場合、全員の合意があることを証する書類(同意書または委任状など)
- 土壌汚染状況調査結果報告書(自主調査)
- 有害物質の使用履歴、対象物質に関する資料(記録や図面等の写し)
2.土壌汚染対策法の第14条申請のメリットについて
本申請については、土地を所有管理していく上で、あるいは今後、開発や売却を予定している場合に、有効に活用できる場合があります。主なメリットとして、以下のようなことが想定されます。
メリット①
法4条に係る手続きの前に自主的な申請をすることで、調査に係る自主的なスケジュール管理が可能となる
メリット②
措置実施のための土の仮置きスペース等を確保するため、要措置区域等とそれに近接する非汚染の土地について自主的な申請をすることにより、措置を円滑に実施できます。 具体的には以下の場合が考えられます
- 要措置区域等と近接する非汚染地に基準不適合の土壌を一時保管する場合
- 複数の飛び地に存在する要措置区域等を包括して封じ込めを行う場合
- 地下水汚染の拡大の防止等、要措置区域等から離れた位置で措置を実施する場合
メリット③
法律に基づいた調査・措置を実施したことを示すことができます(正当性の証明)。
メリット④
土壌汚染に関する情報を隠さずに公開していることができ、地域住民等からの信頼性が向上します。また、形質変更時要届出区域に指定された場合、健康被害が生ずるおそれがない土地であることが証明できます。
メリット⑤
汚染に関する情報が明確となり、将来のトラブル発生の危険性を低減できることや土地取引時に不確定要素を排除できることが期待されます(汚染に関する情報の明確化)。
メリット⑥
現在、工場等が操業している土地において工場等を含め広い面積を形質変更時要届出区域に指定してもらうことにより、将来、掘削を伴う土地に形質の変更をする時でも、区域内で土壌を移動させるのであれば、法16条の搬出の届出や汚染土壌としての処理を行う必要がなくなります(管理している土地の形質の変更の円滑化)。
3.土壌汚染対策法第14条の申請手続きの流れ
- ・申請に係る調査が、公正かつ、法第3条第1項の環境省令で定める方法により行われたものであるかどうかの審査を行う。
- ・現場確認を行う場合もある。
- ・審査の結果を土地所有者等宛に通知する(申請から通知まで概ね30日)
- ・汚染の状態によって、「要措置区域」又は「形質変更時要届出区域」に指定
「要措置区域」に指定
土壌汚染の摂取経路があり、健康被害が生ずるおそれがあるため、汚染の除去等の措置が必要な区域「要措置区域」に指定
土壌汚染の摂取経路があり、健康被害が生ずるおそれがあるため、汚染の除去等の措置が必要な区域4.土壌汚染対策法の第14条申請の留意点について
留意事項①:自主的な申請をするときの留意点
- 申請手続きや指定後の土地の掲出の変更等の手続きのスケジュールを把握したい場合は、事前に都道府県知事等に相談する必要がある。
- 土地を要措置区域ではなく形質変更時要届出区域として適切に管理したい場合は、都道府県知事等に相談しながら手続きを進める必要がある。
留意事項②:風評被害
汚染情報の公開により、風評被害が起こる可能性がある。
留意事項③:区域に指定されたことによる制約
- 土壌を場外へ搬出する時は、汚染土壌の搬出に着手する日の14日前までに届け出る必要がある。また、汚染されていない土壌を場外へ搬出する場合、所定の認定調査を行う必要がある。
- 形質変更時要届出区域での土地の形質の変更を行う場合、その14日前までに都道府県知事等に届け出る必要がある。
- 形質変更時要届出区域での土地の形質の変更の施工基準のうち帯水層に基準不適合土壌が接する場合の施工方法に対して制約を受ける。
- 要措置区域での土地の形質の変更は原則禁止となる
- 要措置区域では、都道府県知事等により指示された措置又はこれと同等以上の措置を行う必要がある。
留意事項④:指定解除の要件
指定を解除したい場合、汚染の除去が必要であり、対策に膨大な費用を必要とする(形質変更時要届出区域は、措置を行う必要はない)。
留意事項⑤:土地の流動化の遅延の可能性
汚染されていることが明確となり、土地の売買などの際に費用と時間がかかる可能性がある。一方で汚染情報が不明確であることにより生ずる新たなリスクを低減させることができる。
環境省のホームページでは、「土壌汚染対策法の自主申請活用の手引き」が掲載されています。
https://www.env.go.jp/water/dojo/gl_app/tebiki.pdf