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トリクロロエチレン(第一種特定有害物質)について
特定有害物質のうち、第一種特定有害物質(揮発性有機化合物)のトリクロロエチレンを取り上げます。
別名
TCE、トリクロロエテン
特徴
塩素を含む有機化合物で、水よりも重く、また常温では無色透明の液体で、揮発性物質です。
用途
さまざまな有機物を溶かす性質があり、不燃性であるため、金属製品製造業や機械器具製造業、半導体の製造工場などで、機械部品や電子部品などの加工段階で用いた油の除去などに使われてきました。
1980年代に有機塩素系溶剤による地下水汚染等の環境汚染が社会問題となる一方で、代替フロンの原料としての需要が増え、現在は金属の洗浄用途を上まわっています。この他、羊毛や皮革などから余分な油分を取り除くためにも使われたり、工業用の溶剤として、生ゴムを溶かしたり、染料や塗料を製造する際の溶剤などに使われています。
また、有機塩素系溶剤は地下水汚染だけではなく、大気汚染も懸念されていることから、環境汚染を未然に防止するために、1986年に「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」が改正されました。トリクロロエチレンは、テトラクロロエチレンなどとともに規制の対象となり、溶剤の製造業者は製造予定量を行政に届け出るとともに、販売する際には環境の汚染を防止するための措置等に関する表示が義務づけられています。
環境中での動き
大気中へ排出されたトリクロロエチレンは、化学反応によって分解され、3~7日で半分の濃度になると計算されています。化審法の分解度試験では微生物分解はされにくいとされ、水中に入った場合は、大気中へ揮発することによって失われると推定されます。土壌中に排出された場合は、土壌への吸着性が弱いため地下浸透して地下水を汚染し、長い間、残留する可能性があります。
環境基準
土壌環境基準 | 0.01mg/L以下 |
地下水環境基準 | 0.01mg/L以下 |
水質環境基準(健康項目) | 0.01mg/L以下 |
土壌汚染対策法の基準(第一種特定有害物質)
土壌溶出量基準 | 0.01mg/L以下 |
土壌含有量基準 | - |
地下水基準 | 0.01mg/L以下 |
第二溶出量基準 | 0.1mg/L以下 |
「事業者が行う土壌汚染リスクコミュニケーションのためのガイドライン」(公益財団法人 日本環境協会 平成27年6月発行)