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チウラム(第三種特定有害物質)について
特定有害物質のうち、第三種特定有害物質(農薬等)のチウラムを取り上げます。
別名
テトラメチルチウラムジスルフィド、チラム、ビス(ジメチルカルバミル)ジスルフィド、TMTD
特徴と用途
テトラメチルチウラムジスルフィド(以下「チウラム」)は、常温で白色または薄い紅色の固体です。殺菌剤の有効成分(原体)として使われるほか、ゴムの加硫促進剤としても使われています。
チウラムは、菌のSH酵素や金属酵素の活性を阻害して殺菌効果を発揮すると考えられています。開発当初は、穀類、野菜類、花き類の種子消毒剤として使われましたが、現在は、マメ類の立枯病、リンゴの黒星病、黒点病、ジャガイモの黒痣病や、ゴルフ場などの芝生の葉枯病の病害防除にも使われています。また、ネズミやウサギに対する忌避剤としても使われています。チウラム単独で、またはジラムなどの他の 農薬と混合して、水和剤や粉剤に製剤化されています。また、家庭で用いられるネズミ忌避剤にも、チウラムを含むものがあります。
チウラムは、天然ゴムや合成ゴムの加硫促進剤としても使われています。加硫とは、原料ゴムに高い弾力性を与えるために、硫黄によって分子間の結合を強化させることですが、加硫は長い時間を要するため、加硫促進剤が添加されます。チウラムが用いられたゴムは、タイヤ、履物や電線などに使われています。
環境中での動き
土壌へ排出されたチウラムは、有機物に富む土壌では微生物分解され、酸性土壌では加水分解によって失われていきます。大気中へは揮発しません。また、土壌中の粒子に吸着しやすいため、地下水は汚染しないと考えられます。土壌中では15日間で半分の濃度になると報告されています。水中に入った場合、光分解や加水分解によって分解されると考えられます。また、水中の粒子や水底の泥に吸着する可能性もあります。大気中では化学反応によって分解され、約1時間で半分の濃度になると計算されています。
環境基準
土壌環境基準 | 0.006mg/L以下 |
地下水環境基準 | 0.006mg/L以下 |
水質環境基準(健康項目) | 0.006mg/L以下 |
土壌汚染対策法の基準(第三種特定有害物質)
土壌溶出量基準 | 0.006mg/L以下 |
土壌含有量基準 | - |
地下水基準 | 0.006mg/L以下 |
第二溶出量基準 | 0.06mg/L以下 |
「事業者が行う土壌汚染リスクコミュニケーションのためのガイドライン」(公益財団法人 日本環境協会 平成27年6月発行)