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チオベンカルブ(第三種特定有害物質)について
特定有害物質のうち、第三種特定有害物質(農薬等)のチオベンカルブを取り上げます。
別名
N,N-ジエチルチオカルバミン酸S-4-クロロベンジル、ベンチオカーブ、ベンチオカルブ
特徴と用途
N,N-ジエチルチオカルバミン酸S-4-クロロベンジル(以下「チオベンカルブ」)は、常温で無色透明の液体で、揮発性物質です。除草剤として使われる農薬の有効成分(原体)です。希釈剤や補助剤などと混ぜて、乳剤、粒剤などのさまざまな形に製剤化されています。主に水田の田植え時の前後から2週間後に、ノビエ、マツバイなどの雑草を防除するために用いられるほか、ムギやダイズなどが栽培される畑にも用いられています。
チオベンカルブは、雑草の生育に必要なタンパク質合成などを阻害して、芽が伸びないようにしますが、イネには影響を与えません。これは、取り込まれたチオベンカルブの代謝速度が、イネよりも雑草のほうが遅く、雑草の中にチオベンカルブが残るため、除草効果が現れると考えられています。
環境中での動き
土壌へ排出されたチオベンカルブは、土壌に吸着して容易には水中へは移動せず、主に微生物分解されると考えられます。また、土壌の表面では日光によって分解される可能性もあります。試験によると、土壌中では、水が張られた条件下では約100日、畑地条件下では約45日で半分の濃度になると推定されています。
水田で使われた場合は、水田の表層水から川や湖への流出率は2%であると報告されています。水中に入った場合は、加水分解されにくく、主に微生物分解されると考えられますが、実際の河川では光によっても分解されることがあります。
環境基準
土壌環境基準 | 0.02mg/L以下 |
地下水環境基準 | 0.02mg/L以下 |
水質環境基準(健康項目) | 0.02mg/L以下 |
土壌汚染対策法の基準(第三種特定有害物質)
土壌溶出量基準 | 0.02mg/L以下 |
土壌含有量基準 | - |
地下水基準 | 0.02mg/L以下 |
第二溶出量基準 | 0.2mg/L以下 |
引用・参考文献
「事業者が行う土壌汚染リスクコミュニケーションのためのガイドライン」(公益財団法人 日本環境協会 平成27年6月発行)
「事業者が行う土壌汚染リスクコミュニケーションのためのガイドライン」(公益財団法人 日本環境協会 平成27年6月発行)