【環境省 指定調査機関】地歴調査・土壌調査・不動産評価・不動産売買・不動産仲介 トランスバリュー・リアルエステートサービス株式会社

シス-1,2-ジクロロエチレン(第一種特定有害物質)について

特定有害物質のうち、第一種特定有害物質(揮発性有機化合物)のシス-1,2-ジクロロエチレンを取り上げます。

別名

1,2-DCE、シス-1,2-DCE

特徴

常温では無色透明の液体

用途

かつては染料や香料、熱可塑性の合成樹脂などを製造する際の溶剤として使われたり、他の塩素系溶剤の原料として使われていましたが、現在は1,1-ジクロロエチレンあるいはクロロエチレン製造時の副生成物として生成されたり、他の物質の環境中などでの分解物として生成されますが、シス-1,2-ジクロロエチレンとしての用途はないと考えられます。

なお、シス-1,2-ジクロロエチレンは1,2-ジクロロエチレンのシス体ですが、トランス異性体にトランス-1,2-ジクロロエチレンがあります。

環境中での動き

環境水中での動きについては報告がありませんが、化審法の分解度試験では、シス-1,2-ジクロロエチレンは微生物分解はされにくいとされています。生物への濃縮性は低い物質です。大気中では主に化学反応によって分解され、1週間以内に半分の濃度になると計算されています。

また、土壌中や地下水中では、酸素の少ない状態でトリクロロエチレンやテトラクロロエチレンが微生物により分解されることによって、シス-1,2-ジクロロエチレンが生成される可能性があります。土壌中や地下水中では、シス-1,2-ジクロロエチレンは揮発されにくく、酸素の少ない状態で微生物によってクロロエチレンに分解され、さらに分解されていきますが、その速度は場所によって異なります。

環境基準

土壌環境基準 0.04mg/L以下
地下水環境基準 0.04mg/L以下
水質環境基準(健康項目) 0.04mg/L以下

土壌汚染対策法の基準(第一種特定有害物質)

土壌溶出量基準 0.04mg/L以下
土壌含有量基準
地下水基準 0.04mg/L以下
第二溶出量基準 0.4mg/L以下
引用・参考文献
「事業者が行う土壌汚染リスクコミュニケーションのためのガイドライン」(公益財団法人 日本環境協会 平成27年6月発行)