【環境省 指定調査機関】地歴調査・土壌調査・不動産評価・不動産売買・不動産仲介 トランスバリュー・リアルエステートサービス株式会社

砒素及びその化合物(第二種特定有害物質)について

特定有害物質のうち、第二種特定有害物質(重金属等)の砒素及びその化合物を取り上げます。

特徴と用途

砒素は、天然の硫砒鉄鉱から得られる物質で、金属と非金属の両方の性質をもつため、半金属元素と呼ばれています。砒素にはさまざまな化合物があります。化合物には炭素を含まない無機砒素化合物と、炭素を含む有機砒素化合物があります。PRTR制度の対象となっているのは砒素とその無機化合物です。

砒素は、金属光沢のあるもろい灰色の固体で、二硫化砒素(花火の着色剤、塗料用の顔料)の原料に使われたり、硬さを高めるために合金(銅など)に添加されるなどの用途があります。また、ガリウム、インジウム、アルミニウムとの化合物は、半導体の原料としてすぐれ、半導体レーザーや赤色の発光ダイオードの原料などとして利用されています。

代表的な無機化合物は三酸化砒素(以下「亜砒酸」と表記します)です。

  • 亜砒酸:無味無臭の白色の固体で、ガラスの製造過程で気泡を消したり脱色するために用いられたり、ガス脱硫剤、木材の防腐剤、砒素や他の砒素化合物の原料、歯科医療で歯の神経を抜く際に使われる亜ヒ酸パスタ、シロアリ駆除などに使われています。
  • アルシン:ニンニクに似た臭いをもつ無色透明の気体で、半導体の原料ガスとして使われています。

なお、1998年までに、すべての砒素系農薬は農薬としての登録が失効されていますが、作物残留性が認められることから、食品衛生法に基づいて残留農薬基準が定められています。

環境中での動き

砒素の大気中への排出量の1/3は天然由来であると見積もられており、なかでも火山活動が主要な発生源となっています。大気中へ排出された砒素は、主に亜砒酸の形で粒子状物質に吸着して存在しますが、降雨などによって土壌や河川に降下すると考えられます。

水中へは、この他、鉱物から溶出したり、鉱泉、鉱山排水などに含まれて排出される可能性があります。砒素は、十分に酸素が含まれている水中や水底の泥の中では、五価(砒酸塩)の状態で存在し、深い湖の堆積物や地下水など、酸素の少ない状態では、主として三価(亜砒酸塩)の状態で存在します。また、多くの砒素化合物は、土壌に吸着しやすい性質があります。

なお、砒素は、地殻の表層部には重量比で0.0005%存在し、クラーク数で49番目に多い元素です。水中や土壌中、岩石、大気中に広く存在しています。

環境基準

土壌環境基準 0.01mg/L以下かつ、農用地(田に限る)においては、土壌1kgにつき15mg未満であること
地下水環境基準 0.01mg/L以下
水質環境基準(健康項目) 0.01mg/L以下

土壌汚染対策法の基準(第二種特定有害物質)

土壌溶出量基準 0.01mg/L以下
土壌含有量基準 150mg/kg以下
地下水基準 0.01mg/L以下
第二溶出量基準 0.3mg/L以下
引用・参考文献
「事業者が行う土壌汚染リスクコミュニケーションのためのガイドライン」(公益財団法人 日本環境協会 平成27年6月発行)